「わかりやすいネルドリップ珈琲」in 東京ヒカリエ
講演会
「珈琲と健康とネルドリップ」
(東京薬科大学名誉教授 岡希太郎)
ドリップ講座 講師
珈琲美美(福岡) | 森光宗男 |
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旧大坊珈琲店(東京) | 大坊勝次 |
ダフ二(東京) | 桜井美佐子 |
待夢珈琲店(岐阜県) | 今井利夫 |
カフェ工船(京都) | オオヤミノル |
今や世界では日本だけとなった「ネル(布)ドリップ」
ネルで淹れるコーヒーは、なぜ美味しいのか・・
「美味しいコーヒーは粗挽きネルドリップで・・・」、というキャッチコピーを聞いたことはありますか?
ネルとはフランネルまたはリンネルの略で起毛のある柔らかな布(綿)のことです。
このネルの濾し袋を用いたネル式ドリップ法は日本でも戦前・戦後にコーヒーの抽出法として多くのコーヒー専門店、喫茶店等で主流をなしていました。
シンプルな抽出法でありながら、コーヒー豆が本来持つ味と香りなど旨み成分をもっとも引き出す淹れ方で、ペーパーフィルターなど他の抽出器には決して出せない舌触りの滑らかな至極のコーヒーとなります。
但し、豆の状態、豆の粒子、湯の温度、湯の差し方などで微妙に味わいが変わりますので、適正な条件とある程度の技術がいりますが、繰り返し淹れて習得して下さい。
ネルドリップ法は・・・
- 1)ネル布の収縮性及び起毛により、蒸らしで粉全体を満遍なく膨らませることができる。
- 2)手で持ったネルを操りながら、じっくりと香味成分を十分に抽出することが出来る。
今でもネルにこだわりつづけているコーヒー専門店やコーヒーマニアはいますが、「手間がかかる」との理由だけで、その数は年々減っています。
個性が生かせるネルフィルター
また、ペーパードリッパーなどの既存の物とは違い、自分で考案して、自分だけの味を自分で作る楽しみがあり、使用法によって個性が生かせるフィルターです。
たとえば、ネル布の片側起毛の起毛面を内側にしたり外側にしたり、両起毛のネルフィルターを使う、浅い、深いフィルターなど形状の違い、合わせの数の違いなど、ネルフィルター一つで抽出されるコーヒーエキスの香味や使用法は違ってきます。
片起毛のネルは、起毛を内に向けるか外に向けるか、いろいろなことが言われますが、内側にした場合、毛足がコーヒーの微粉末を吸収して布目に詰まるのをさえぎり、雑味の少ないろ過が出来るようです。
しかし、起毛に付着した微粉末が洗いにくく、連続使用すると洗浄によって起毛が減りやすく、フィルターの寿命が若干早まるようです。
昔は、この微粉末が多く出る電動臼式コーヒーミルしかなかったため、起毛を内側にして使用していた方が多かったようですが、近年は微粉末の出にくい良質なカット歯の電動コーヒーミルが出来たため、起毛を外側にする人が多くなりました。
外側のほうが洗いやすく、起毛が減ることが少なく、安定的に長く使用することが出来るようです。