KISSATEN(喫茶店)Part4 KISSATEN(喫茶店)Part4
KISSATEN(喫茶店)Part4

KISSATEN(喫茶店)Part4

更新日:2014年7月1日

私たち日本人の多くの方はブラックでコーヒーを飲んでいます。
ブラックでコーヒーを飲んで、「美味しい」と言っているのは世界でも日本人だけのようです。では、なぜ日本人はブラックでコーヒーを飲むようになったのでしょうか?

日本は古来から豊かな気候風土ときれいな水が豊富にありました。四季がはっきりと分かれていて、四季折々の「旬」の美味しいものが一年中味わえるのです。

旬(しゅん)とは、ある特定の食材について、他の時期よりも新鮮で美味しく食べられる時期のことを言います。旬の食材は素材そのままで十分美味しく、調味料やスパイスなど何も足す必要はありませんでした。

よって、日本の調味料は醤油くらいしかないといわれています。

今、世界で流行している「日本食」のほとんどは食材の味そのものを楽しむ、混ぜ物をしない食文化なのです。

「素材に勝る味は無し」

以前ブログに書いたようにすべては素材次第なのです。

ご飯にしても、漬物にしても、刺身にしても、何も加えることなく素材の味をそのままいただく味覚文化が日本には昔からあったのです。

よって日本人は、ブラックコーヒーの苦みの中からフルーティーな酸味、甘味、旨味を感じ取ることができ、何も足すことなく楽しむことが出来る素晴らしい舌を持っている世界でも稀な人種なのです。

オランダ

では、日本に珈琲が伝来した歴史を少し覗いてみましょう。

1641年(寛永18年)、長崎の出島にオランダ商館が設立され、以降、オランダ屋敷に持ち込まれたのが初めて日本にもたらされたコーヒーといわれています。

初めてコーヒーを飲んだとされている人は、役人、通訳、遊女などだったそうですが、その苦く刺激的な香味は、当時の日本には全く受け入れられなかったようです。

しかし、オランダ人は自分の植民地で栽培しているインドネシア産のコーヒーを何とか日本に売り込むために、あの手この手でコーヒーの販売促進に努めたそうですが、結局、受け入れてもらえずにとうとう諦めたと言われています。

太田蜀山人

太田蜀山人

当時のコーヒーの評価を文人の「太田蜀山人」が、江戸中期に発行した著作にこう書いています。

「焦げくさくて味わうに堪えがたし」

と記しています。

では、なぜ日本人の口にコーヒーがあわなかったのか?いろいろな要因が言われています。

  • 農耕民族の穀物を中心とした食文化にコーヒーの刺激的な味わいがあわなかった。
  • 日本には中国から伝わった緑茶文化が受け入れられていた・・・。
  • 焙煎不良で味が悪かった。

などなどです。

しかし、明治の開国以降、洋物の文化と共にだんだんと受け入れられるようになっていきました。はじめは、病院食のミルクの匂い消しとして「ミルクコーヒー」として受け入れられたようすが、大正~昭和と「ミルクホール」、「カフェー」、「喫茶店」などの開店により少しずつ消費を伸ばし、第2次大戦後は急速に消費を伸ばし、世界第3位の消費国まで(今は4位)になったのです。

ただ消費を伸ばしただけではなく、日本人はコーヒーをいろいろなシチュエーションに応じて、インスタントコーヒー、缶コーヒー、アイスコーヒーなど、独自に開発して楽しむようになったのです。

私は消費量もさることながら、日本人がコーヒーという飲み物を自分流にいろいろな形に変えた功績、発想の豊かさにただただびっくりしております。

そして、とうとう日本基準の「ブラックコーヒー」を楽しむようになったのです。いかがですか?

日本人の味覚の秀逸さは世界一といっても良いのかもしれません。

  • Twitter