すっきりした味わいの水出しアイスコーヒー
近年、アイスコーヒーといってもいろいろなスタイルがあります。
インスタント(ソリュブル)コーヒーもお湯ではなく水で溶けるものができ、簡単にアイスコーヒーができるようになりました。また、缶コーヒーにおいては清涼飲料水として、自販機やコンビニで冷やされてアイスで飲まれていますし、スーパーではボトルやパック入りのアイスコーヒーが多く販売されていますね。
これらのコーヒーは、確かに「簡単、便利、安い?(これは疑問)」がテーマで、手軽に楽しめますが、それによって本来の味わいや良さを犠牲にしていますね。
まず、どれも新鮮とは言い難いですし、味も香りもレギュラーコーヒーに比べ良いとは言えません。「そんなことない!」と反論される方もおられるでしょうが・・・。それはそれとして、今回は一般的な周知の事実として申し上げます。
やはり、新鮮、健康、美味い、良い香り、と言ったらレギュラーコーヒーで作る本格的なアイスコーヒーを於いて他にありませんね!レギュラーコーヒーで作るアイスコーヒーには、大きく分けると3種類の作り方があります。
- ① 水出しアイスコーヒー
- ② コーヒー・オンザロック
- ③ コールド・コーヒー
それぞれ特徴があり、どれが「美味しい」というお話ではなく(そもそも「美味しい」という感覚は個人の好みの問題で、普遍的な表現ではありませんのでかなり不確です)同じ豆を使っても、淹れ方の違いにより味わいや抽出される成分が大きく違います。
要するに、今日の自分はどれを選ぶか?好むか?なのです。
しかし、私がこのブログでお話しするレギュラーコーヒーに関しては、すべて「新鮮で良質な豆」であることが前提条件になっていますので、古い豆を使って美味しいコーヒーを作るには?などといった、マジシャンのような話ではないという事だけは必ずご承知おきください。
では、今回から3回の「アイスコーヒー・シリーズ」とまいりましょう。
①「水出しアイスコーヒー」
水で5時間~12時間・・場合によっては24時間もかけて抽出するコーヒーです。カルキを取り除いた水を使い、必ず深煎りの豆を使用するのが雑味の無いクリアーなエキスを作る条件です。
総体的には苦味やコク、雑味が少なくライトな味わいで、ブラックでお茶代わりに飲むのには向いていて、カェインの抽出が若干少なく、お子供さんやお年寄りの方、カフェイン過敏症の方にも安心して頂けるコーヒーといわれています。
ライトな時代になったのでしょうか?近年流行の兆しを見せています。
私は、32年前から店で提供して、さまざまなスタイルの水出しコーヒーを研究してまいりましたが、なかなかコクと芳ばしい苦みと旨味をバランスよく抽出するのが難しく大変苦労しました。
コーヒーの旨味成分はカフェオール(脂肪)です。脂肪は油ですので「水に溶けにくく熱湯に溶けやすい」性質があり、どうしてもお湯でしか抽出されない香味があるのです。結局、水出しコーヒーにお湯で抽出するような香味を求めること自体が間違っていたのです。なんと、それに気が付いたのは最近になってからなのです。
あきらめが悪い性格ですので、やれる範囲のことを徹底的に実践、研究してみないと気が済まないので・・、それにしても32年もかかるとはなんともお恥ずかしい話です。
水出しコーヒーの抽出器は様々ありますが、基本的にはセットしてしまえばほとんど手を加えることがなく簡単な器具が多いです。近年、安価で優れた器具も出ていますので、自分に合った(予算的にも)器具を選ぶと良いでしょう。
また、特別な器具を使わずに簡単にできるものもあります。
「コーヒーパック」といって、冷茶パックのように紙(布もある)のパックにコーヒーの粉を入れて輪ゴムで止め、水の入ったポットに投入して6~8時間、常温(室温)で待つだけで出来上がるアイスコーヒーです。
アイスコーヒーパック
一人前170cc(出来上がり量140cc)に水出しアイス用深煎りの粉(細挽き)一人前15g×人数分とする(エキスの濃度は自分の好みで量や時間を調整してください)。
就寝前にセットしておけば、目覚めた時には出来上がっているという優れものです。パックに入れなくてもできるのですが、エキスが濁りクリアーさが出ませんのでお勧めできません。
パックは豆売りコーヒー専門店などで売っていますが、ネットでも、ゼンミ株式会社製「お茶だしパックL無漂白タイプ32枚」などが販売されているようです。
しかし、味は嗜好です。珈琲教室の生徒さんに、同じ豆を使って、水出しアイスコーヒーとお湯で淹れて氷で冷やしたアイスコーヒー(コーヒー・オン・ザ・ロック)とどちらが好みか?のアンケートをすると、大体7割の方が、「お湯で淹れたアイスコーヒーが好き」と答えます。
コーヒー好きの方には、すっきりした味わいのアイスコーヒーより、旨味と「ほろっ」と苦い味わいのアイスコーヒーが好まれるようですね。
いずれにしても、味覚は自分の感覚ですので、自分に合った味わいのコーヒーを淹れるための豆(もちろん新鮮で良質な豆)を選び、抽出法を決め、飲み方を工夫することが大切で、何が良くて何が悪いということではないのですね。
次回は、氷で瞬間に冷やす、「コーヒー・オン・ザ・ロック」の作り方です。
