日本コーヒー文化学会 第21回年次集会 報告 日本コーヒー文化学会 第21回年次集会 報告
日本コーヒー文化学会 第21回年次集会 報告

日本コーヒー文化学会 第21回年次集会 報告

更新日:2014年12月19日
2人

大坊勝次氏(左)と森光宗男氏のドリップ珈琲対談

いつもありがとうございます。今回は先前回の続きで「ドリップコーヒーのPart2」の予定でしたが、先日おこなわれた「日本コーヒー文化学会 第21回年次集会」の報告をしたいと思います。
2014年12月7日(日)東京都千代田区神田錦町の学士会館で行われました。

人

13:10~14:30 第一部対談「ネルドリップ珈琲の秘密」(200年前のドゥ・ベロワ式ポットの実演有)

【出演】
大坊 勝次氏(旧 南青山: 大坊珈琲店)
森光 宗男 JCS顧問(博多:珈琲美美)
進行役: 星田 宏司常任理事(いなほ書房)

大変な聴衆で、定 員100名のところ全国から150名以上の募集があったようです。会場が144名しか入れませんので140名で打ち切ったそうです。過去20年で、年2回行われる総会では一番入場者数が多かったそうです。

さすがです!東西日本を代表するネルドリップ名人お二人の注目度と人気は絶大です。今の時代、簡単、便利、早い、安い、のコンビニ文化の時代になってきたと私は嘆いていましたが、今回は若い方も多く来ていただき、これだけの聴衆を前にすると、「まだまだ捨てたものではない」、「やはり本物を求める方は沢山いる」、「真の珈琲マニアは熱い!」と記録的な入場者数にとても嬉しく感じました。

1杯の珈琲を淹れるのにこれほど多くの手間と時間と労力と気力をかけている方は世界には(あえてそう言わせていただきます)そうはいません。まったくもって今の時代とは真逆の珈琲に浪漫を感じ感動を呼ぶのでしょう。

対談

集会は1時から始まりましたが、対談後にお二人が140名のコーヒーを淹れるとなると当然時間がなくなりますので、今回は、東京田町の「ダフニ」の桜井さん、東京青山の「ジェントルビリーフ」の浅野さん、岡山「折鶴」の藤原さん、美美で修行され、今は熊本で自家焙煎の店をしている江崎さん(エチオピアコーヒー旅行でご一緒でした)と私の仲間5人でコーヒー抽出を担当しました。

抽出3

ドゥベロアのドリップポットと藤原氏(右)、江崎氏(中)、私

藤原さんは以前、吉祥寺「もか」の標(故人)さんが所有していた300年も前のドゥ・ベロアのドリップポットを実際に使って、ドリップコーヒーの原点であるコーヒーを淹れて皆さんにお飲みいただくという、世界でも大変貴重な日本でも初めての試みを担当していました。

桜井さんと江崎さんは森光さんのコーヒーを、浅野さんと私は大坊さんのコーヒーをそれぞれ担当して抽出しました。浅野さんは慣れていてとてもスムーズに大坊コーヒーを再現していましたが、私は大坊さんが大切にしている深煎り珈琲の苦味の中の甘味を何とか再現しようと必死でした。

集合

その後、集会は順調に進み、最後はお二人が皆さんの前でコーヒーを淹れるというパフォーマンスで終了です。

沢山の方が携帯やカメラを手に抽出風景に見入っていました。さすがにお二人の抽出には無駄がなく、手際よくとても美しいです。

「この姿を見ているだけで珈琲にかける思いやキャリア、人間性まで汲み取れるのは私だけではない」

と感じていました。

14:40~16:00 第二部座談会「日本の喫茶店の歴史を語る」

【パネラー】
狹間 寛(帝国飲食料新聞)
平湯正信(大和屋)
堀口 俊英(珈琲工房 HORIGUCHI)
中根光敏(広島修道大学)

日本の喫茶店の歴史に精通した4人です。
質疑応答形式で行われ、それぞれの方の喫茶店に対する思いを幅広く楽しく語っていただきました。

狭間さんは独自の観点で日本の喫茶店の移り変わりとチェーン店が台頭するまでを独自の観点でお話しされました。

堀口さんは世界コーヒー事情に詳しく、幅広く深い情報知識を持っていますので、「短時間で簡単には語れない」と、サードウェーブと言われている喫茶事情をさわりのみ的確に誤解の無いようにお話ししていました。

平湯さんは戦後の喫茶店の生き字引のような方ですので、皆さんの楽しくなるような喫茶店の歴史の話をしていました。

中根さんは最近、珈琲の本を出版された注目の方です。
中根光敏著 「珈琲飲み」・・コーヒー文化 私論・・洛北出版
自らのコーヒー遍歴をもとに、多岐にわたる視点から喫茶店や珈琲の楽しみ方を書いてあります。

中根光敏著 「珈琲飲み」

中根光敏著 「珈琲飲み」

16:00~17:45 第三部分科会(それぞれに分かれての勉強会)

社会・人文科学委員会・・「日本および他のアジア諸国の喫茶店の類似と差異について」
地域・文化研究委員会・・「コーヒー生産地の文化~インドネシアの織物~」
生産・流通委員会・・・「コロンビア南部産地の新しい香味について」
焙煎・抽出委員会・・『小型焙煎機・ディスカヴァリー~開発設計の考え方~』
コーヒーサイエンス委員会・・「コーヒーの酸味成分について」

私は東京薬科大学名誉教授・岡希太郎先生のコーヒーサイエンス委員会に出席いたしました。今回のテーマはいま世界で注目の「酸味」です。

古くなったスッパ味とコーヒー本来が持つ蟻酸、酢酸などとの違い、クエン酸のエネルギー効果などを勉強いたしました。岡先生のお話はとても明快で聞きやすく、内容も理論整然として、話し方もとても楽しく愉快です。

2月には当店で「珈琲と健康」のお話をしていただこうと企画していますので、その時はこの紙上でお伝えいたしますのでご期待ください。

18:00~19:30【懇親会】

日頃お話しできない方々との会話はとても楽しく勉強になりました。

朝11時の理事会からから夜8時近くまで、丸一日フルに動き回りましたので大変疲れた一日でした。しかし、とても清々しく充実した一日でした。

《日本コーヒー文化学会入会のご案内》
日本コーヒー文化学会は、世界のコーヒーやその文化についてもっともっと知りたいと願う人々の集いを目的とする公正な団体です。

コーヒーのことをもっと知りたい方、
コーヒーを飲みながらもっと語り合いたい方、
お一人でも、グループでもお気軽にお入りください!

まずはご事務局までメールかお電話をください(ホームページもご覧ください)。
日本コーヒー文化学会事務局
E-MAIL:info@jcs-coffee.org
神戸市中央区港島中町6-6-2
TEL 078-302-8880 FAX 078-302-8824

(注) 一部写真提供・・小坂章子さん

  • Twitter