三つのコーヒー 三つのコーヒー
三つのコーヒー

三つのコーヒー

更新日:2013年6月14日
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トルコ式コーヒーポットとイブリック

現在、私たちが飲んでいるコーヒーは大きく分けると次の3種類があります。

①焙煎した豆を粉にして、ペーパードリップやエスプレッソなどの抽出器を使って淹れる「レギュラーコーヒー」

【説明】
1454年イスラームの国、中東イエメンから始まり、メッカ、メジナを通じてトルコで花開きました。「ターキッシュ・コーヒー」と呼ばれ、いろいろな香料を入れてコーヒーと一緒に煮出し、濾すことなしにその上澄みを飲むコーヒーです。
1545年イスタンブールでは世界初のカフェ、「カフェ・カーネス(コーヒーの家)」が開業しました。その後、エジプトからEU諸国に広まり砂糖、ミルクを入れて飲むようになったといわれています~。

レギュラーコーヒーに関しては、これからじっくりその生い立ちや、砂糖やミルクなど何も足さない日本独自のコーヒー文化「ブラックコーヒー」の話をしてまいりますので、今回はこの程度にいたします。

三つのコーヒー"

②大型機械抽出器で淹れたコーヒー液を、過熱、又はフリーズで乾燥させ粉末にした「インスタントコーヒー(ソリュブルコーヒー)」

【説明】
日本では第2次大戦後、高度経済成長と共に飛躍的に消費を伸ばしたコーヒーです。当時、本格的なレギュラーコーヒーは喫茶店で飲まれ、家庭ではお湯を注ぐだけで出来上がるインスタントコーヒーが多く飲まれていました。

日本ではインスタントコーヒー(即席)と呼ばれていますが、世界的にはソリュブルコーヒー(溶ける)と呼ばれています。始まりは、1899年にアメリカのイリノイ州シカゴに在住していた日本人科学者のカトウ・サトリ博士が、緑茶を即席化する研究途上、コーヒー抽出液を真空乾燥する技術を発明して、1901年にニューヨーク州バッファローで開催されたパンアメリカン博覧会で「ソリュブル・コーヒー」(可溶性コーヒー)と名づけて発表したのが始まりといわれています。

特許を申請しなかったために正式には認められていませんが、インスタントコーヒーの発明者が日本人だったということには驚かせられますね。

三つのコーヒー日本初の缶コーヒー「ミラコーヒー」・・・学芸員のひとりごとより抜粋

③大型機械抽出器で淹れたレギュラーコーヒーを缶に詰めて製品にした「缶コーヒー」

【説明】 (出典)ウィキペディア
1965年9月14日、 島根県浜田市出身の三浦義武が日本橋三越で販売した『ミラ・コーヒー』が世界初の缶コーヒーといわれています。200g入り缶80円。砂糖入りミルクなしで、1968年まで約3年間に渡って関西を中心に販売されたそうです。

三浦義武は作家であった三浦浩の実父にあたる人物で、司馬遼太郎や小島政二郎のエッセイにも、缶コーヒー販売の記述にも書かれているそうです。当時、浜田市で盛んだった製缶技術を利用して製造されたもので、半年後に開缶しても濁らず沈殿することがなかったそうです。

しかし、人気にはならず間もなく生産を中止しました。その後、本格的に販売したのは、1969(昭和44)年に上島珈琲本社(現:UCC上島珈琲)が、瓶詰のコーヒー牛乳にヒントを得てミルク入り缶コーヒー『UCCコーヒー ミルク入り』を発売し、自動販売機の設置の増加も相まって、どこでも手軽にコーヒーを飲むことができるようになり、人気となりました。

近年、コンビニを中心に様々な缶コーヒーが売られています。モーニング000などといわれ、朝専用・・?? 夜飲んだらどうなんだ!…といいたくなるような訳の分からない宣伝文句のコーヒーが多く発売されています。

私たち珈琲屋といたしましては、「こんなのコーヒーではない!」といいたいところですが、しかし、着実に販売を伸ばしている現実を無視するわけにはいきませんね。販売が伸びている理由が必ずあるのですから。

…などが、現在日本で飲まれているコーヒー飲料ですが、まさに百花繚乱!自分のライフスタイルに合わせ、楽しむことができる時代になったと申しましょうか・・・?

何でもありの時代になりましたが、何でもよいというものではない気がいたします。私は、どれも否定するものではありませんが、すべてを肯定するものでもありません。コーヒーを食文化(安全で美味しい、ホッとする癒しの時など)として捉えた場合、あなたは・・・

インスタントコーヒー文化?
缶コーヒー文化?
レギュラーコーヒー文化?

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