ロイヤルコペンハーゲン・ブルーフルーテッド
「ロイヤルコペンハーゲン」
★1775年、王室への贈答用陶磁器を製造する王室御用達製陶所としてコペンハーゲンに発足しました。創設以来、現在に至るまで約2世紀以上にわたり世界で高い評価を得る作品を制作しています。
ロイヤルコペンハーゲンが世界的に知られるようになったのは1885年。アートディレクター・アーノルド クローが、磁器そのものが持つ美しさを「アンダーグレイズ技法」を駆使して作り上げました。また、日本の陶磁器にも興味を持ち、自身で買い集めた浮世絵のコレクションを参考にして作品を発表しました。 1889年のパリ万国博覧会では、そのジャポニズムに影響を受けたクローの作品がグランプリを獲得したそうです。
クローがデザインして、世界の多くの人々に愛用されている「ブルーフルーテッド」は世界の最高傑作ともいわれています。「ブルーフルーテッド」には基本的に3パターンがあるといわれていましたが、現在は、新作の「メガ」を加えて4パターンともいわれています。
ブルーフルーテッド メガ
【ブルーフルーテット、4つのバリエーション】
① 「ブルーフルーテッドプレイン」
② 「ブルーフルーテッドフルレース」
③ 「ブルーフルーテッドハーフレース」
④ 「ブルーフルーテッドメガ」(新しいアイコンとして誕生、人気を博しています。)
4つのバリエーションのいずれも草花をモチーフにしたデザインで、コバルトブルーの単色と白生地とのコントラストが美しく、緻密なレースが繊細で格調高く描かれ、その流行に左右されない時代を超えた美しさが人々を魅了し、その品の良さを世界中の人々が評価しています。
その良さは、やはりなんといっても「ハンドペイント」にあります。コバルトブルーの絵柄が特徴的な「ブルーフルーテッド」は、創立から230年を経た現在でも、そのハンドペイントの伝統は受け継がれていて、何年もかけて習得したペインティング技術を有した熟練ペインターによって、昔と変わらない方法で、一筆一筆、丁寧にハンドペイントで描いています。
また、すべての作品には創設当時から製品の裏側に、ロイヤルコペンハーゲンのマークとアーティストのサイン、シェーブナンバーが入れられているそうです。
ロイヤルコペンハーゲンの裏印
【ロイヤルコペンハーゲンの裏印】
北欧ヴィンテージ雑貨店『Imaya』のブログを参照いただくととても分かりやすいですよ。
ロイヤルコペンハーゲンの目利き《初級編》バックスタンプの見分け方
https://imaya-blog.com/archives/967
ロイヤルコペンハーゲンのマークは、王冠と三本の鮮かなブルーの波型ラインで構成されています。3本の波線は、デンマークを囲む3つの海峡を表現、王冠はもちろん王室御用達を意味しているといわれています。
バックスタンプは1935年以降、現在のデザインが使われています。製造年は、バックスタンプの王冠の周りの「ROYAL COPENHAGEN DENMARK」と書かれている文字の周辺に打たれた点の位置により判別が可能である。この番号はシェーブナンバーと呼ばれています。
ロイヤルコペンハーゲンのバックスタンプには実に様々な種類があります。 ロイヤルコペンハーゲンは長い歴史の中で数多くの種類のバックスタンプやロゴマーク、刻印、裏印を生み出しており、すべてのロイヤルコペンハーゲンの商品にはバックスタンプという言わばロイヤルコペンハーゲンのマーク、ロゴが入っています。
ロイヤルコペンハーゲン ハイハンドルカップ
私は1977年当時からたくさんのロイヤルコペンハーゲンを収集しています。単色で素朴なデザインでありながら、職人が一筆一筆手書きで描いたアンダーグレイス技法のカップは、何年たっても飽きないというよりも、むしろ、年数がたてばたつほど愛着がわいて良くなってくるカップ達なのです。
デンマークでは親子孫三代にわたってロイヤルコペンハーゲンのディナーセットを揃えていく、という話を聞いたことがありますが、納得のいく話だと思います。様々なものが急速に変化し流れていく今の時代。陶磁器のカップもいろいろなスタイル、デザインの新作カップが毎年出ています。
それはそれで良いとは思いますが、何百年と変わらずに作られ求められているトラディショナルなカップの素晴らしさは、歴史という風格と品格が感じられ、今日までずっと制作され続け存在しているというだけで素晴らしいカップなのではないのでしょうか。
実際にロイヤルコペンハーゲンのカップにコーヒーを注ぎ入れてみると、主役のコーヒーを引き立たせて、なおかつ同時にカップ自身の良さも表現しているように思います。
不思議ですが、何も入れずに鑑賞するよりも、コーヒーを注いだ状態の方がよりカップが美しく見えるのです。私の尊敬する珈琲人の店でも、ロイヤルコペンハーゲンを使っている珈琲店はとても多いです。
まさにコーヒーとベストマッチのカップだという事を経験的に知っているのでしょう!
皆さんもカップを購入するときにはそれに入れる飲み物を注いだ状態をイメージして、選ばれることをお勧めいたします。
ロイヤルコペンハーゲンはなにもトラディショナルな物だけを創っているのではなく、現在の感覚の新作も開発し発表しています。それらの新しい作品にも、世界の老舗陶磁器メーカーとしての誇りが感じられる、何年も所有しても飽きのこない素晴らしいデザインのコーヒーカップを数々生み出しています。
その中でも、今、日本で人気のカップはハイハンドルのカップです。
【ブルーフルーテッドプレイン・ハイハンドル】
取っ手がカップの縁から上に伸びたハイハンドルカップで、イタリアで発掘された古代のオリーブオイルを入れていた持ち手が上向きにデザインされたカップをヒントに開発されたといわれています。
ハンドルシェイプは、熱くなったカップに直接触れずに安心して握ることができ、ソーサを持たずに取っ手に指を入れてカップだけを持ち上げて飲む日本人向けに開発されたといわれていて、とても人気があります。
当店でも何客かいろいろな色、パターンのカップを所有しています。
ソーサの深さも手ごろで、デザインに品があり、多くのお客様にとても評判が良く喜ばれています。
但し、洗う時には気を付けないと、ハンドルがほかのカップと衝突して欠け易く、実際、何客か使えなくなりました。また、洗った後水切りするためにカップを裏返すことが難しくて、水切りが悪いですが、カップの魅力を考えると、どちらにしても大した問題ではありません。
『ビング・オー・グレンダール』
B&Gの名作曲者シリーズ(右がベートーベン、左がハイドン)
ビング オー グレンダールはデンマークの陶磁器メーカーで、1853年にマイヤーヘルマンとヤコブ ヘルマン兄弟がポーセリンアーティストであるフレデリック ヴィルヘルム グレンダールと共に創立したといわれています。グレンダールの素晴らしい制作技術は受け継がれ、数々の名作を生み出しました。
ビングオーグレンダールはロイヤルコペンハーゲンと同様に、100年以上も王立のロイヤルコペンハーゲンと技術を競い、ロイヤルコペンハーゲンと同等の質の高い製品を製造し、品揃えとデザインでも決して引けを取らなかったメーカーでした。クリスマスプレートの制作は1895年から始めていて、世界で最も古くからあるコレクションといわれています。‘B&G’の裏印で親しまれ世界の人々に愛されてきました。
しかし、100年以上もロイヤルコペンハーゲンと技術を競い、質の高い製品を製造してきましたが、1987年にロイヤルコペンハーゲン社に吸収合併されました。
買収されたあともロイヤルコペンハーゲンに残っているフィギュリンが数多くあり、B&Gで作られていたものと同じデザインのフィギュリンがロイヤルコペンハーゲンでそのまま作り続けられています。
※資料 フィギュリンとは、陶磁器で作られた人形、彫刻や塑像など、芸術的技法によって象られた作品を総じてフィギュリンと呼ぶ。
B&Gのカップ(左がエンパイヤ、右がシーガル)
歴史のある名窯で、私は昔から大好きなカップですが販売店が少なくて、探し求めるのにとても苦労した覚えがあります。最近ではネットでの購入が簡単になり購入できると思ったときに、ロイヤルコペンハーゲンに吸収合併されてしまいました。
ビングオーグレンダールは、昔からの伝統のスタイルをかたくなに守り作り続け、あまり新作を出すことがありませんでした。形やデザインはオーソドックスで使い易いのですが、地味というかとても落ち着いたカップで、言い方を変えるとおとなしいインパクトのないカップといえるのかもしれません。今の若い方たちの感覚には、いまいちフィットしなかったのかもしれません。
しかし、実際に長く使ってみると、その質の良さ、使い易さはとても良いことに気が付くと思います。私は今所有しているカップの中では、ビングオーグレンダールの「エンパイヤ」が一番のお気に入りです。シンプルで何気ないのですが、とても雰囲気があって良いのです。このカップは、今までお客様にお出ししたことがない数少ないカップの一つです。
