前回は「一手間」のお話をいたしましたが、少し広げ、掘り下げてお話しいたしましょう。「手間」を使った熟語はたくさんありますね。
◎【手間がかかる】・・思ったより手間がかかる
◎【手間取る】・・煩わしい、面倒
◎【片手間】・・本来の仕事の余暇。また、本業の合間にほかのことをすること。
◎【二度手間】・・一度ですむところを、さらに手間をかけること。
◎【手間いらず】・・簡単、便利、早道
◎【手間】・・そのことをするのに費やされる時間や労力
◎【一手間】・通常の処理の仕方に付け加える、よりよく仕上げるためのちょっとした工夫。
◎【手の間】・・手間の間に「の」を入れると、すべては手と手の間での手作業になります。
「手間」というと、時間や労力がかかり、何か面倒なものを連想しやすい言葉のように思われていますが、手間をかけるというのは、そのものに気持ちをかけて、その時間を楽しむことと私は思っています。
美味しいものを飲んだり食べたりするには、必ず手間が必要です。しかし、美味しいコーヒーを楽しむために、そんなに多くの手間はいりません。たった「一手間」、「一工夫」で良いのです。
一味良いだけで行列のできる店になりますし、一味足らないだけで、流行らない店になりますね。味は必要に応じた「一手間」をかけると、一味だけではなく数段良くなります。しかし、「片手間」だったり、「無駄な手間」では「二度手間」となり、かえって味が悪くなりますね。
適切な一手間、一味を楽しみましょう!
前置きが長くなりましたが、今回は、香味が素晴らしい究極のアイスコーヒーで、手間と時間がかかる「コールド・コーヒー」です。
☆『コールド・コーヒー、淹れ方の基本』
①布かペーパーのドリップ式を推奨
②中深煎りか深煎りの豆を使用(浅煎りの豆は向きません)
③一人前の豆の量は約15g~20g前後
④コーヒーミルで中挽き(グラニュー糖の倍くらい)にする。
⑤初めは粉が湿るくらいの量のお湯で蒸らす。蒸らし時間は長めにとる。その後、一人前110cc前後のエキスをじっくりドリップして淹れる。
⑥抽出後、エキスをシェーカーに移し流水で粗熱をとり、その後、氷をたっぷり入れたボウルの上で、4℃くらいになるまで百回程度回して冷やす。
⑦前もって冷やしておいたグラスに注いで出来上がり(グラスに氷は入れません)。
⑧氷を入れないのでエキスが薄まることがなく、珈琲そのものの特徴を楽しめますが、抽出に細心の注意が必要になります。
⑨甘味の必要な方はシロップでも良いのですが、⑥のあら熱をとる前にグラニュー糖を適量入れて甘味をつけておくと薄まることなくそのものの味が楽しめます。
⑩生クリームを添えて出来上がり。
【ポイント】
①中深煎りか深煎りの焙煎濃度の豆を使用。
②雑味を出さないように、豆と抽出には細心の注意が必要。
③自分の好みの濃度を探る。
④たっぷりの氷入りボウルで急冷することがクリアーなエキスになる。
⑤急冷する容器は、シェーカーがない場合は金属容器でも良いが、ガラスのサーバーは冷めにくく向かない。
⑥必ずグラスは前もって冷やしておく。
⑦氷を入れずに飲む。
⑧作り置きはお勧めできません。
⑨強いエキスができるので、バリエーション・コーヒーなどに向く(アイス・カフェ・オレなど・・)
冷水で粗熱を取る
氷の入ったボウルで百回ほど回して冷やす
グラスは前もって冷やしておく
琥珀の女王
氷を使用しないので、ワイングラスなどに注ぐととても上品な演出効果が期待できます。二手間も三手間もかかるコーヒーですが、じっくりとコーヒーの旨味を楽しむことができる特上のアイスコーヒーです。
グラニュー糖で甘味をつけてワイングラスに注ぎ、乳脂肪の高い(40%)生クリームをたっぷり浮かべて、ブランデーを1~2滴たらすと、絶妙な「琥珀の女王」が出来上がりますよ。
一度試してみてください。

