COEコーヒーのカッピング
いつもありがとうございます。
5月にオークションで落札したCOE(カップオブエキセレント)コーヒーが2種類入荷しました。
① 「エルサルバドル・ロス・ピリオネス・パカマラ・ナチュラル」限定60kg(カッピングスコア87.13ポイント)
エルサルバドル東部ベルリン・ウルスターン町標高1350m~1550mの地で出来る希少なパカマラ種です。『パカマラ種』はブルボン種の突然変異種で、「パカス」(Pacas)と「マラゴジッペ」(Maragogype)をかけあわせた品種で、エルサルバドル特有の品種です。マラゴジッペのように非常に大粒ですが、パナマ・ゲイシャにも似た素晴らしい香りをもっており、カップオブエクセレンスの品評会でも高い評価を得て注目を集めています。生産量は非常に少なく、希少な品種です。
カッピングの感想は、シロップのような甘味が秀逸で、ピーチやマンゴー、メロン、アップルなどのフルーティなフレーバーが口いっぱいに広がり、これらの香味がバランスよく感じられるように、中浅煎りに焙煎しました。
② グウァテマラ・カラフテアルトCOE2018年 限定60kg(カッピングスコア87.23ポイント)
パカマラ種とマラゴチッぺの混合のウォッシュドコーヒーです。『パカマラ種』は「パカス」(Pacas)と「マラゴジッペ」(Maragogype)をかけあわせた品種です。
マラゴジッペはブラジルで出来た突然変異の豆で、非常に大粒ですが味も香りも秀逸です。私が実際にカッピングして買い求めたCOEコーヒーで、品評会でも高い評価を得て注目を集めています。
今回はハイロースト(中浅煎り)に焙煎して、香りと味わい深さを両立させました。
カッピングの感想は・・・
「素晴らしいバランスのコーヒー!」
華やかで綺麗、味わい深く、五味(甘味、酸味、苦味、香り、コク)が見事に調和されたコーヒーです。
今年は春のCOEオークションでは2種類の豆しか買う事ができませんでしたので、秋は何が何でもとの思いで積極的に買い求め、コロンビア、ペルー、ブルンジ、ルワンダ、ブラジル・パルプドナチュラル、ブラジル・ナチュラルと買いあさりました(笑)特にコロンビアは9位の豆が落札でき、カッピングスコア―が90.21という90点越えのワクワクする豆が買えたのです。
2月か3月には入荷予定ですので、楽しみにしていてください。
カッピングスコアーを記入するカッピングシート
カッピングスコアが高ければ高いほど評価は高く、香味豊かでユニークで希少で貴重な豆が多いです。
では、カッピングスコアはいったいそのようにつけられるのでしょうか?
▼国際審査員によって、1項目満点が8点×8項目、その総点数+36点が総合点数となります。国際審査員は、多数の国々及び当該当開催国から卓越した品質審査技量、コーヒー味覚審査のエキスパートで構成され、それぞれの国際状況を勘案して経験豊かな24人が選出されます。
国際審査員は米国・欧州・日本・カナダ・オーストラリア・ブラジル・グアテマラ・ニカラグアからの招聘によって選定されます。
8項目とは・・・
1.スイートネス(甘さの評価)
水1 リットルに砂糖5 グラム程度の甘さを感じること。基本10 点だが、甘さがないカップがでた場合カップ数に応じて1 カップ2 点を減じる。
2.フレーバー(香味の評価)
風味。口に含んだ液体から鼻が感じる香りを伴った味を評価する。
3.アフターテイスト(後味の評価)
液体を飲み込んだり、吐き捨てた後の口の中の余韻を評価する。
4.アシディティ(酸の質の評価)
酸味の質を評価する。クエン酸系の酸味なのか、リンゴ酸系か、または酢酸、リン酸の系統か。コロンビア、ケニア、インドネシアではそれぞれ酸味の特徴が異なる。
5.マウスフィール (口当たりの評価)
上顎に向かってかかる圧力を評価する。アルコールが揮発する感覚、塩水などの膨らみのあるミネラル感。
6.バランス(味のバランスの評価)
「フレーバー、アシディティ、ボディ」のバランス。安定した立体感だけでなく突出した個性も評価する。
7. クリーンカップ(綺麗さの評価)
欠点の味がないこと。雑味や味の汚れがないこと。
8. オーバーオール(個人の評価)
総合評価。全体像を評価する。購入を前提にした審査。他の項目が高得点でも購入価値が見出せなければ低めに評価する。反対に他項目が低めの得点評価でも購入価値を見出せば、高めに評価する。
各項目がそれぞれ8点満点です。
8点×8項目=64点(満点)
その点数にすべて+36点を足す。
64点+36点=100点となります。
どの項目にどれだけの点数がついたのかも一目瞭然で、豆の特徴が良くわかる評価になっています。それ以外点数にならないが、
◎アロマ(液体から漂う香り)
「粉の香り、湯を注いだ香り、粉を攪拌した香り」を嗅ぎ、香りの質を評価する。点に加えて、香りから類推される具体的な言葉で表現する。
◎「ユニフォーミティ(質感)」
サンプルカップの安定性。4カップすべて味にバラつきがないのが良い。
があります。
特にアロマにおいては3項目をチェックします。
① DRY(挽いた粉の香り)
② CRUST(お湯を注いだ時に立ち上る香り)
③ BREAK(お湯を注ぎ入れてから3分ほどして、スプーンで粉をまぜた時に芳香する香り)
① DRY(挽いた粉の香り)を嗅ぐ
② CRUST(お湯を注いだ時に立ち上る香り)
③ BREAK(お湯を注ぎ入れてから3分ほど待ち、上部の粉をスプーンでまぜる。その時の芳香する香り)
カッピング
その後、カッピングに移ります。
カッピングスプーンでコーヒーエキスを霧状に口の中に吸い入れて評価します。霧状にするといろいろな香味が良くわかるのです。
但し、口に含んだコーヒーは飲まずに吐き出します。飲んでしまうと数杯で香味の感知能力がマヒしてしまうようです。カッピングは、温かいときに、酸味やアロマ、フレバーの香りを中心に感じ取り、冷めてからは、味を中心に感じ取るように努めます。
始めはなかなか感じにくいですが、五感を使い、全神経を集中して数十回も繰り返し、繰り返しカッピングすることでいろいろな香味を感じ取る事ができるようになります。上質なコーヒー豆でないとカッピング力は付きません。香味をたくさん有している良質なコーヒーを繰り返し繰り返しカッピングする事によって味覚は修錬されるのです。
カッピングするコーヒーの焙煎濃度はすべてミディアムローストです。深く焙煎してしまうと豆の持つキャラクターが苦味に隠れてしまい、本来フルーツであるコーヒー豆の資質が解らないのです。よって、このローストの段階で豆の持っている資質(脂質でもある)を直感的に感じ取り、自分はこの豆をどのように焙煎し、どのような香味のコーヒーに仕上げるかをイメージするのです。
それには経験とカッピング力が必要ですので簡単ではありませんが、始めなければ何も進みませんので、こういった機会になるべく多く出向きカッピング力をつけることは珈琲に携わるプロとしてとても大切な事だと思います。
こうして最終的に自分の好むコーヒーを選び出し希望価格で入札します。好みのコーヒーは人によって必ずしも同じではありませんし、点数が高いものが自分の好みとも限りませんので、自分の五感を信じて価格等も考慮して慎重に選びます。しかし、そこはやはりオークションですので競合相手がいて、必ず希望の金額で買えるという保証はありません。
予想をはるかに超える高値がつくことはざらですが、たまにビックリするくらい安値で買えることもありますので、面白いです(笑)
今秋に買えたCOE6種類は来年の2月か3月には入荷いたします。
楽しみです!
今からわくわくしています!
素材に勝る味はなし!
すべては良い豆があってからこそ美味しいコーヒーが出来るのですから。
今年もあとわずかで終わります。
稚拙な文ながらいつもご覧いただきありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
来年からは自分の時間をすべて珈琲に捧げ、珈琲一筋にまい進する覚悟です。
一人でも多くの方に、珈琲の美味しさ、淹れる楽しみ、知る喜びをお伝えし、コーヒー好きな方と共に手を携えて進んでいきたいと思います。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
