ドリッパーがあれば、どこでも美味しいコーヒーが淹れられる!!
いつもありがとうございます。
梅雨の時期から夏となり、蒸し暑くて鬱陶しい季節になりました。自家焙煎珈琲屋にとってもこの時期から夏にかけては、一年で一番焙煎が難しく厄介で嫌な季節です。
焙煎において、空気中の湿度が高いこの時期は煎り上りも今一しっくりきません。また、焙煎の最後の仕上げで、煎り上がった豆を急冷するのですが、外気を取り込み冷却するシステムですので、豆に湿気が入ってしまい、なんとなく賞味期間が短くなり、今一味に締まりがないように感じます。
コーヒーを淹れるときも香りが感じ難く、カップコーヒーを飲む時も香りが弱いように思います。自家焙煎珈琲屋にとっては、出来れば梅雨がない方が良いと毎年思っていますが、梅雨がないと水不足となりますので、水と火しか使わない珈琲屋にとって大変なことになりますよね(笑)
日本には四季があり一年が春夏秋冬のサイクルで回っています。さらに細かくいうと「24節季」で回っています。季節によってコーヒーの味わいも感じ方が大きく違います。寒い冬には苦味が少ない柔らかな酸味のコーヒーを好むようですし、暑い夏にはアイスコーヒーのように爽やかな苦味のコーヒーが好まれる傾向にあるようです。一年を通じて、それぞれの季節を感じられるコーヒーが楽しめると(淹れ方も含めて)と楽しいですよね。
さて、近年キャンプが大流行ですね。これからの季節はキャンプにもってこいの時期です。日本人は本来、定住民族ですので、アウトドアキャンプはあまり盛んではありませんでした。しかし20年くらい前からアウトドアブームとなり、オートキャンプなどキャンプ施設、道具などの充実によって、手軽で簡単に楽しめるようになりました。
さらにこの2~3年のコロナ感染拡大によって、インドアの遊びではなく、アウトドアのキャンプが大流行しました。近年、キャンプカーやそれに付随する様々なキャンプ用品が人気となっています。キャンプをするには家庭にあるものを代用すればいいのですが、日本人は何故か形から入るという習性があるようで、街のキャンプ用品売り場はどこも人気となっています。
一年に一度か二度、それも夏か秋の良い季節にするだけなのに、高価なキャンプ用品を揃え、日頃食べないような豪華な食事を食べきれないほど用意して楽しんでいますし、グランピングなどの、さも高級ホテルが森の中に移動しただけのような、とてもキャンプとはいえないようなものまで登場して、「??」と思ってしまいますが、人それぞれの楽しみ方がありますので、それはそれで「良し⁉」といたしましょう(笑)
かといっても、せっかくキャンプに来たのに、手軽なカップ麺や菓子パンなどを持ってきて、ほとんど調理しないで簡単に食べるのも何かしら寂しい気がしますよね。家族や仲間とワイワイ言いながら作り自然の中で食べるのは、家庭で食べるのとはまた違った楽しみがあります。また、日頃料理をしないお父さんやお子さんなどが作る食事なども、味や形に関係なく(おこげのご飯も⁈)それはそれでおいしく感じますよね(笑)。コーヒーに関しても、手軽な缶コーヒーやインスタントコーヒーを飲むのではなく、ちょっと一工夫してみてはいかがでしょうか?
工夫といっても、その時だけに使う高価なアウトドア用コーヒー専用器具を買う必要はまったくありません。キャンプでレギュラ・コーヒーを淹れるのに、特別な物はなにもいりません!家庭で日ごろ使っている器具(ペーパードリッパー、鍋、タオルなど・・・)があれば十分です。他には、水、ペットボトル、牛乳、チョコレートなどがあればいろいろなコーヒーが楽しめます。
道具をそろえるのではなく、知恵を使い、家庭で日ごろ使用している器具を工夫して、日頃飲んでいるコーヒーとは一味違う、アウトドアならではのコーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか?色々な発見や感動が体験出来、楽しい思い出作りにもなりますよ!また、この機会に、近年静かなブームを巻き起こしている「コーヒー焙煎」なども楽しむこともお勧めですよ!(次号は「キャンプでコーヒー豆の焙煎!」をお話します)
コーヒーを淹れる
『簡単!キャンプでおいしいコーヒーを楽しもう!』
① 「珈琲豆を選ぶ」
a.自分の好みの焙煎濃度の豆を用意
苦味が苦手な方は浅入りの豆を、苦味が好きな方や、ミルクなどのバリエーションコーヒーを好む方、水出しコーヒーを作りたい方は深煎りの豆の方を選ぶとよい!
次回は、「アウトドアで珈琲豆の焙煎}を、お話します。
b.抽出器を用意する
アウトドア用にパーコレーターや金属製のエスプレッソなどの抽出器を買い求める方がたくさんいらっしゃいますが、わざわざお金を使って雑味の多く出る抽出器を買い求めるのはいかがなものでしょうか?
美味しいコーヒーといえばやはり雑味が出にくいドリップに限ります。
普段家庭で使用しているペーパードリッパーをそのまま持っていけばいいのです。
まあ、ネルフィルターならば手軽でかさばらず何度も使用できるのでなお良いですが、どちらでも構いません。
c.「コーヒー豆を粉にする」
アウトドア用のミルなどがありますが、年に数回使うだけではもったいないので、こんな時には事前に挽いて持っていくのも悪くないと思います。しかしそれではつまらないという方は、ミルがなくても粉にできるワイルドな方法があります。
イ) 用意した焙煎豆をジプロックなどのビニール袋に入れ、タオルで包む。
ロ) 平らな石などの上で、木の棒か適当な大きさの石等で軽く叩いて適当な細かさの粉(グラニュー糖くらい)にする。
( あまり強く叩くと粉がつぶれすぎて、エキスが濁ったり、雑味が出やすくなったりするので注意!)
粗さは不揃いですが、アウトドアで楽しむにはそれはそれで楽しい味わいになると割り切ってくださいね。
② 「コーヒーを淹れる・・ドリップ編」
イ) カップに直接ドリッパーをのせ、ペーパーフィルターをセットして、挽いた粉を適量入れる。
ロ) ポットか鍋でお湯を注ぐ・・・適当な量になったら出来上がり。
どうしてもエキスの濃度が気になる方は、抽出液の色を見て抽出を止めるとよいでしょう!ドリップコーヒーはお湯をゆっくり注ぎ入れると段々とエキスの色が変わってきます。はじめは漆黒のエキスで次に赤色に変わり、その後オレンジ、黄色、白色と変わってきます。エキスと香りはオレンジまででほとんどが出尽くしますので、抽出液の色がオレンジになったら抽出終了と覚えておくと、味わいの深いコーヒーが楽しめますよ。
③ 「コーヒーを淹れる・・ボイルド(浸漬式)編」
・・・・約3人分
a.鍋に水を500cc入れ、火にかけてお湯を沸かします。
b.沸騰したお湯を湯温85度程度(2~3分置く)になるまで落ちつかせて、挽いたコーヒーの粉を30グラム入れる。
c.軽くかき混ぜて、4分待ち、その後、弱火で湯温85度まで再加熱して、また火から外し再度上から押さえるように
かき混ぜて3分待つ(好みによって砂糖を加える。)
d. 粉が沈んだら、静かに上澄みをカップに移して飲むのも良いですし、粉が気になるならば、茶漉し、ガーゼ、日本手ぬぐい、タオル、靴下(笑)等で濾して出来上がり。
e. 好みによってチョコレートを入れ溶かして飲んだり、牛乳や料理に使ったシナモンや胡椒など、スパイスを入れて「フレーバー・コーヒー」にしても楽しいです。
水出しコーヒーを作る
④ 「コーヒーを淹れる・・水出しコーヒー編」
a.ペットボトル(500ml)に水400ccを入れて、そこに深煎りに焙煎した細か挽きのコーヒー粉35g~40g(必ずフレンチロースト以上の深煎り豆を使用してください)
b.キャップをして二三度上下に軽く振って、常温で保存。お好みで砂糖(グラニュー糖)を一緒に入れても良い。
c. 炭酸ガスが発生しますのでキャップをしっかり締めずに、かぶせる程度にします。
d. 1時間位したら再度、二三度上下に軽く振る(できればですが・・・)。
e. 6時間か8時間したら粉が沈殿しますので、上澄みを、茶漉しやガーゼ、日本手ぬぐい、タオル、靴下(笑)等で濾して出来上がり
f. 夜寝る前にセットしておくと朝には美味しい水出しコーヒーが出来上がっています。
g. 水出しコーヒーは苦味が弱いすっきりした味わいのコーヒーができますが、あまりにエキスが薄いようでしたらもう数時間浸すか、次回からは水の量を減らしてください。氷を入れてアイスにしたり、鍋で温めてホットにしたり、牛乳を入れたりと自由にお飲みいただけます。
【まとめ】
キャンプなどのアウトドアでコーヒーを楽しむには、特別な器具は要りません。日ごろ使用しているものを使っていろいろ工夫してみてください。キャンプは自然を感じ、自然の中で「生きている」事を感じて、自分を見つめなおす時間を楽しむのが良いですね。
また、最新式な設備の中で、アウトドア専用の道具を用意して、日頃食べないような豪華な食材をたくさん持って行って腹いっぱい食べるのは、悪いとは言いませんが、いかがなものでしょうか?せっかく「不便なところ」に来たのですから、その不便さを質素に楽しみ、知恵を絞り、色々と工夫して自然時間を楽しんでください。大自然の中で体いっぱい自然と接して、自然を感ずる時間を優先して楽しんでください!出来ればキャンプ中は、携帯やゲーム機などを持たずに過ごされると、「原点回帰」となりお勧めですよ!!
次回は、「キャンプでコーヒーの焙煎の楽しみ方」をお話します。
