まずは、挽き立てのコーヒーの香りを楽しむ
いつもありがとうございます。
コーヒーの魅力にはたくさんの要素がありますが、一つだけ挙げるとすると、皆さんはなんとお答えになりますか?確かに飲み物ですので、味わいだと思われるでしょうが、私は800種類以上あるといわれている「香り」だと思っています。
世界のコーヒーの飲み方を見ると、日本のように多くの方がブラックでコーヒーを飲み、楽しんでいる国もあれば、コーヒーの産地ブラジルなどのように、砂糖をスプーンで3杯も4杯も入れて飲む伝統的なとっても甘いコーヒー(カフェ・ジーニョ)を楽しんでいる国もありますし、イタリアのように、超深煎りの豆を微粉に砕き、7気圧で高温の蒸気でエキスプレス(エスプレッソの本来の意味)で淹れたとても濃厚なコーヒーに、たっぷり砂糖とミルクをたっぷり入れて飲むカプチーノやラテなどのコーヒーを楽しんでいる国もあります。
また、コーヒールーツの国エチオピアやイエメンなどでは、ポットや鍋などにコーヒーと砂糖をたっぷり入れ、煮出して抽出したコーヒーを、濾すことなし(ターキッシュコーヒー)に飲んで楽しんでいます。世界ではこういった様に、それぞれの国でいろいろな飲み方をして楽しんでいます。ブラックで苦味を好んだり、甘くして楽しんだり、ミルクとのマッチングを楽しんだりと・・・、コーヒーは嗜好品の飲み物ですので、国によっても人によっても全く違った飲み方をしていますね。
しかし、飲み方は違えども、すべてにおいて共通の楽しみ方は、「香りを楽しむ」なのです。どの国のコーヒーにも共通してあるのは、あの「馥郁たる香り」で、コーヒーの最大の魅力といってもいいのでしょう!
コーヒーを淹れながら香りを楽しむ
① 「コーヒーの香り」
コーヒーの香りには3つあります。
❶ フレグランス・・・豆をひいたときに発生する香り
❷ アロマ・・・お湯を注いだ時に出る香り
❸ フレバー・・・コーヒーを口に含んだ時に鼻に抜けていく香り(これは香りながらも味わいにも分類されます)
【解説】(全日本コーヒー協会の資料より抜粋して要約)
香りの主な正体は、「β―ダマセノン」と言われています。ローズやリンゴなどのニュアンスを持ち、植物、果物などに幅広く存在するβ-ダマセノンは、いくつかの脂肪酸エステルとともにワインのフルーティーさに寄与する物質です。コーヒーの魅力はその豊かな味ですが、わたしたちが美味しいコーヒーを飲んだときに感じる感覚の大部分は、味蕾からではなく、匂いを嗅いだときに鼻に抜ける揮発性の化学物質の香りなのです。バラ特有の香りをつくりだす「β-ダマセノン」や「グアイアコール」、ヴァニラ特有の「ヴァニリン」のような物質が、コーヒーの風味の基本的な特徴の要素となっていて、現在、香りの成分には800種類あると言われています。
【世界中で愛飲されているコーヒー】
淹れたてのコーヒーには、馥郁とした魅力的な芳香があります。香りはコーヒーの生命と言われており、その良し悪しは、コーヒーの品質を裏づけるものと言えます。コーヒーの魅力的な香りの再現は、非常に難しいとされています。この原因として、コーヒーの香りが極めて多くの成分から構成されているためで、コーヒーの香りが非常に繊細で変化しやすいことが、香りの再現を難しくしている理由のひとつと思われます。良質なコーヒーの香りには、「交感神経を抑制」する効果があると言われています(リラックス効果)。
② 「香りから生まれる、 癒しと集中力」
コーヒーを淹れたときの、あの「ふわっ」とした香りが好きな人はきっと多いはず。その独特な香りには、人間の脳に働きかける2つの効果があるそうです。コーヒーショップに足を踏み入れたときの、なんともいえない香り。自分でコーヒーをドリップするときに湯気とともに立ちのぼるあの香りは心地よいですね。コーヒーの香りは、人の脳に影響を与えることが最近の実験で分かりました。それもコーヒー豆の種類によって効果が異なるそうです。杏林大学医学部の古賀良彦教授らが、コーヒーの香りが人の脳に影響を与え、それも「コーヒー豆の種類」によって効果が異なるという実験を行いました。リラックス効果の指標とされたのがα波という脳波です。人間がリラックスしたときに、脳ではこのα波が多く出てきます。つまり、α波が多く出ているほどリラックスしているという訳です。
アロマ効果の高いコーヒーの香りは集中力を高める事ができます。 コーヒーの香ばしい香りは作業能力を大幅にアップさせ、頭の中をスッキリさせます。リラックスする香り・集中力を上げる香りと種類があるそうです。波が最も多く出現したのは、グアテマラとブルーマウンテン。最も強いα波が見られたのは、深炒りのコーヒーだったそうで、深煎りのブラジル、ハワイコナ、マンデリンなど、これらの豆の香りをかげば、頭の回転が速くなるそうです。
コーヒー豆の香り成分は、約800種類あると言われています。その成分の多くが、焙煎豆の中に発生する炭酸ガスに含まれています。 つまり、新鮮な豆をコーヒーグラインダーで豆を挽く時に出る香りは、炭酸ガスによって香りが放出されるということです。これは、毎日コーヒーをドリップしている方は気づいているのではないでしょうか? 新鮮な豆を挽いて、お湯を注ぎ入れ、蒸らした時にプクッと豆が膨らむ時(炭酸ガスの効果)に、素晴らしい香りがたちこめます。でも、古い豆や、挽いて時間が経った粉(ドリップパック等)はガスが抜け、膨らみが少なくなり、香りもそれに伴って抜けてしまいます。
コーヒーの香りは挽いた時に一番放出されますので、淹れる直前に豆を挽くことは香りを楽しむ最大の楽しみなのです。そして、健康で味も良いのです。炭酸ガスは、挽いた時に約4割放出されると言われています。残りの6割は、徐々に放出されていきます。(※放出量は、挽き加減等によって変化します) どんなに焙煎したての豆であっても、挽いてしまえば、2時間で半分程度の香りになってしまうのです。
「安価なミルでも、店で挽くよりはずっと良いのです!」
健康のために、そしてコーヒー本来の香りを堪能するために、抽出の直前にコーヒーを挽く事は、良いコーヒーの必須条件(新鮮なコーヒーは健康コーヒー)です。
詳しくは、全日本コーヒー協会のホームページ「COFFEE BRAEK」をご覧ください。
香りから生まれる、 「癒し」と「集中力」。
【解説】
美味しいコーヒーは鮮度が一番!
コーヒーの賞味期間は・・豆で約3週間から1か月。しかし、粉にしてしまうと、数時間で炭酸ガスや香りが抜けだします。炭酸ガスが抜けていたり、湿気を帯びていたりするコーヒーは、抽出の時に膨らまず、灰汁がエキスと一緒に抽出されてしまい、雑味の多いエキスになります。また、古くなって酸化したコーヒーには「過酸化脂質」(※資料参照)なる物質が多く含まれるため、健康を害すると言われています。
では、良いコーヒーの条件とは・・・、
① 好みの新鮮で良質な豆
② 良いコーヒーミル(グラインダー)・・必須条件
③ 良質な水
④ 良い抽出器
⑤ その他の備品(スケール、ドリップポット、サーバー、温水計、タイマーなど)
⑥ 良いコーヒーカップ
⑦ その他
それぞれどれも欠かすことができませんが、その中でも一番大切な事は、「良いコーヒーミル」です。良いコーヒーミルなくして、良い抽出もできませんし、体に良く美味しいコーヒーもできません。どんな新鮮な豆でも、挽くと2時間で炭酸ガスが抜け出し、香りが損なわれます。
毎回申し上げますが、今流行りの即席コーヒーの「ドリップパック」や「リキッドコーヒー」などは、コーヒーの魅力が半減してしまうと私は思います。高価なものは必要ありませんので、まずは是非コーヒーミルを1台お持ちいただきたいと思います。コーヒーの世界がびっくりするくらい変わりますよ!
【トピックス】
コンビニやコーヒーショップで飲み物を購入した時や、公共施設の休憩スペースに設置されているドリンクコーナーなど、使い捨て紙コップは日常生活の至る所で使われています。そんな紙コップに注いだ熱湯を分析した研究により、紙コップでコーヒーやお茶を飲むと、大量のマイクロプラスチックが飲料に溶け出すことが判明しました。約1杯に2万5千個のマイクロプラスチックが入っているそうです。
また、即席が人気の「ドリップパック」を95度のお湯で抽出すると、1杯につき10万個のマイクロプラスチックが混入するという研究結果が出ました。但し、それらのマイクロプラスチックが人体に悪影響があるかどうかは、まだ研究されていないそうです。しかし、いずれにしても「良くはない!」とは想像できますよね。
