世界の優良コーヒー豆生産地・・・ケニア 世界の優良コーヒー豆生産地・・・ケニア
世界の優良コーヒー豆生産地・・・ケニア

世界の優良コーヒー豆生産地・・・ケニア

更新日:2022年1月19日
脱穀

「アフリカンベット」での伝統的な乾燥工程・・ケニア

いつもありがとうございます。
今回は世界で一番良いコーヒーを作る国といわれている「ケニア」です。

私は2012年にケニアとタンザニアに2週間、珈琲研修旅行に行きました。関西国際空港からドバイ経由で、16時間かけてケニアのナイロビ空港に着きました。まず、首都ナイロビにあるケニア最大手のコーヒー商社ドーマン社を訪ねました。そこで、ケニア全土から集まるコーヒーのカッピングをさせていただきました。その中から気に入った産地や優良と思われるコーヒー農園を3~4選び、次の日から、その各農園を訪ねました。

日本の商社が扱っているコーヒー農園を尋ねるという一般的な視察ではなく、昔からある原種に近い豆を探し、自らのカッピング力を信じ, 今まで日本に紹介されなかった一級品のケニアコーヒーを発掘するのが目的の視察旅行なのです。しかし、ほとんどのケニアコーヒーは業者による国内オークションで売買されているために、残念ながら自分の気に入った農園の豆はそうは簡単に購入できませんでした。

ケニアは東アフリカ赤道直下にあり、北はスーダンとエチオピア、東はソマリア、南はタンザニア、そして西はウガンダと接し、東南部は400キロメートルにわたってインド洋に面している。
ケニアの地形は、高原地帯、砂漠地帯、峡谷地帯と複雑であるが、標高900メートルの等高線を境にして、高地ケニアと低地ケニアに二分することができる。特に標高1000〜2500メートルのハイランド地区は、温和で降雨に恵まれた山地が多く、優良コーヒーが栽培されています。

輸出総額の第1位で30〜40パーセントを占めるコーヒーは、ケニアで古くから植えられていた農産物のひとつであり、コーヒーの主要産地はウガンダ国境から続くウェストリフトバレー地域、ケニア山の麓など、南西部の高原地帯までの広範囲に及んでいます。生産品種は水洗い式アラビカ種で「ケニアアラビカ」の名で知られていて、「世界で一番優良なコーヒーを栽培する国」といわれています。

現に、日本に入ってきているケニアコーヒーには、良いコーヒーしかありません。その理由としては、産地の栽培条件もいいのはもちろんですが、80年以上も前から政府主導で、コーヒーの取引をオークションでしか(一部例外もあり)買えないシステムを構築したからなのです。
オークションでの入札制度によって、良いコーヒーは高い値段が付き、そうでないものは安い価格となり、買い手がつかない場合もあるのです。よって、生産者はみんなして良いコーヒー栽培をするようになったのです。これが「世界で一番良いコーヒーを作る国」といわれる理由です。

オークションシステムで思い当たるのは、近年注目されているスペシャルティーコーヒーの中でも、最高峰のコーヒーをオークションで売買するシステムのCOE(カップオブエキセレンス)コーヒーオークションです。1999年に始まったのですが、国内審査・国際審査といった厳格な審査が行われ、上位に入賞したコーヒー豆は、インターネットオークションにかけられて世界中で売買され、収益の大部分はその豆を生産した農家に渡るのです。
国ごとに行われ、厳格な審査を経てオークションへと出品されるというのがCOEの概要ですが、ケニアはすでにそれよりも80年も前からオークションシステムで売買しているのです。

いかがですか!
国に一人でも未来を読める良き指導者がいれば、世界でも優良コーヒーだけの産物が出来上がり、サスティナブルコーヒーとなりえるのです。このシステムは近隣国に影響を与えましたが、すぐにできるというものではありません。
エチオピアなどは、2008年4月に設立した「エチオピア商品取引所」によるECX制度(エチオピア コモディティー エクスチェンジ)を立ち上げましたが、うまく機能していません。いろいろな人種や部族が混在しているエチオピアにおいて、その取り組みはとても大変なのでしょう。

電影

写真はワタル(株)より参照

私のお気に入りのケニアコーヒー産地は「ニエリ地区」のコーヒーです。ニエリ地区は標高1700m前後、一年中常初夏の気候で、30度を超えることがめったにありません。空気が乾燥していて、水も豊富で、米なども二毛作でできるくらい豊かな環境です。アフリカの赤道に近い地域なのにとても住みやすく、「ここに永住したい!」と思うくらい良い地域なのです。

味わいはマイルドで柑橘系や紅茶や中国茶系の香味がほのかに感じ、質の良いクリーンなコーヒーで、日本人が好むブラックで飲んでおいしいコーヒーに仕上げるには、もってこいのコーヒーです。ケニアでもニエリ地区の豆は特に人気があり、なかなか気に入った豆が毎年買えません。
よって、当店で使用するケニアコーヒー豆は、毎年決まっていなくて、メインの商社がその年に買い付けた豆の中から気に入ったものを選びます。その年に良いものがなければ、他のコーヒー商社から買うこともあります。
コロンビアやグァテマラのように、農園との契約で毎年同じ豆が買えるというシステムではないため、毎年、安定した豆がご用意できないのは、お客さんに申し訳ないと思っていますが、基本、ケニアコーヒーには悪い豆がありませんので、等級さえよければどこの地域の豆でも良いとは思っています(^_-)-☆

またケニアは紅茶の栽培も盛んで、珈琲と紅茶は優良栽培地が似通っていて、珈琲畑の隣に紅茶畑が隣接しています。ケニア紅茶は日本ではあまり知られていませんが、世界的には有名で、特徴としては、コクがあり色がとても紅いのです。まさしく「紅(アカイ)茶」なのです!あまりにも美味しいので、私はケニアのお土産に、コーヒーではなく紅茶を買ってきたほどです(笑)

近年、ニエリの良いものがなくて、この数年はキリニャガの豆を使用していますが、こちらの地域は、コクがありチョコレート風味の強い味わいが特徴となりますが、それはそれでケニアらしいといえばケニアらしく、コクのある苦味の中にほんのりとした柑橘系の香りがバランス良く、深い味わいのコーヒーが好きな方にはとても人気があります。
いずれにしても、ケニアコーヒーはとても優良な豆であることには間違いがありませんので、焙煎濃度や種類に関係なく美味しく味わえるコーヒーです。皆様も是非一度味わっていただきたいと思います。

地図

KENYA (ケニア)
●正式名称:ケニア共和国
●面積:58万3千平方メートル
●首都:ナイロビ
●主要言語:スワヒリ語、英語
●通貨:ケニア・シリング
●栽培品種:アラビカ種
●輸出湾:モンバサ

酸味、風味、そして順応性に高く、西欧諸国で人気の高いケニアコーヒー
東アフリカの赤道直下に位置する国。東アフリカの赤道直下に位置する国。
標高1,700m前後の高原である中部一帯は平均気温10〜28℃という過ごしやすい気候でコーヒー栽培に適している。雨期は1年に2度あり、3〜5月が大雨期、11〜12月中旬が小雨期。品種研究や流通体制の整備が進んでいるため、極めて高品質なコーヒーが生産されるとスペシャルティーコーヒーの最前線で注目が集まっており、近年価格が高騰している。生産量の約6割が小規模農家によって生産されている。コーヒー生産高は第25位。

《コーヒーの主な産地図》・・珈琲ガイドのページより抜粋

地図4

《コーヒー事情》
・・駐日ケニア共和国大使館のホームページより参照
ケニアでは、農業省内にコーヒー局が設けられ、公的機関がコーヒー産業を監督し、国をあげてコーヒー産業の振興に力を入れています。ケニアコーヒー局は1934年に設立されて、ケニアコーヒー業界の中心的な存在です。コーヒー局は、規則の遵守とケニアコーヒーのマーケティングを行っています。1934年にケニアコーヒーをオークションによって売買される方法が始まりました。

《目標と目的》
ケニアコーヒー局が組織された目標と目的は、生産、加工、付加価値付け、そして国内外におけるケニアコーヒーのブランディングにおいての競争を促進すること、そして、ケニアのコーヒー業界に対する興味を広く生み出すことをコーヒー局の活動の基本としています。

《品種》
大部分がアラビカ種で、SL28、SL34が主力品種です。
※SLとはかつてナイロビにあった研究所「スコットラボラトリー」の略で、SL28もSL34もブルボン種から選抜された数多くの品種の一つです。SL28は干ばつに強く、SL34は高地での栽培に適応しています。最近はさび病などに耐性のあるルイル11を植える傾向があります。ルイル11は、カチモールとSL種の交配種なので、ケニア独特の香味の特徴が弱いのが残念です。

畑2

《栽培》

ケニアコーヒーは、1893年から1世紀以上にわたり栽培されてきました。
現在コーヒーの総栽培面積は推定16万ヘクタールになります。そのうち約1/3がプランテーション部門、残りを約70万人の小自作農部門が占めています。収穫期が年2回あり、メインクロップは9〜12月、サブのフライクロップは5〜7月です。

《精製》

農協の場合、収穫されたコーヒーチェリーは近くの「ファクトリー」と呼ばれる精製施設に運ばれます。ウォッシュドが殆どで、中には昔ながらの伝統的な方法(ケニア式)を採用しています。ケニア式は、「ハンドピック→チェリーの手選別後→水流比重選別式パルパーによる皮むき→発酵工程→ソーキング(きれいな水に一昼夜浸漬)→水路で水洗→アフリカンベッドでのパーチメントの天日乾燥→パーチメントの安定化を経て脱穀→選別」。発酵工程後、ソーキング(水路で水につけて綺麗にする)するのがケニア式ならではです。

《等級》

光学式などの分類機械によってサイズ、重量、形状に細かく選別される。
AA:豆のサイズが7.20ミリスクリーンと大型である。スクリーン17〜18
AB:6.80ミリのスクリーンのAグレード及び6.20ミリスクリーンのBグレードの混合。量的にも最大。スクリーン15〜16
TT:軽量豆であり、AA,ABグレードから風圧により選別される。
C:ABグレードより小型豆。スクリーン15〜16
T:Cグレードから風圧により選別される。
E: 巨大種の豆、やや大味
TT :AA・ABの中から風圧で飛ばされた軽量豆
T :非常に小さく細い豆。欠点豆を含む
PB: 丸豆(ピーベリー)  通常約1割

生豆・煎り豆の外観・コーヒー液の品質によって、1〜7くらいまでクラス分けされます。
1.FINE(最高)
2.GOOD
3.FAIR TO GOOD
4.FAIR AVERAGE QUALITY(標準)
5.FAIR
6.POOR TO FAIR
7は輸出外品

《取引》

首都ナイロビで毎週コーヒーのオークションが行われます。1930年代から行われていて、品質に基づいた透明性の高い価格決定の仕組みとして、ケニアコーヒーの品質向上・維持に大きく貢献しています。現在でも、大多数のコーヒーがオークションを通じて売買されています。

赤身

《主な産地》

◎キリニャガ

ケニア最高峰ケニア山(5,199m)のことで、キリニャガとは現地の言葉で「神の山」を意味します。その名前に負けない品質は、世界規格であるQグレード認証を取得。山麓での丁寧な栽培・精製によって生み出された豆は、華やかな香りと重厚なコクを持ちます。フルーティーなワインのようなフレーバー、グレープのような酸味が特徴です。

◎ニエリ 

ケニア山南西に位置し、高い標高、水はけのよい火山性土壌が高品質なコーヒーを生み出す。主な栽培品種はSL28、SL34、Ruiru11等。 良質なニエリ地区のコーヒーにはカシスやラズベリーなどの赤や紫色の果物やワインを連想させる濃縮感のあるフルーティーさ、しっかりとしたコク、豊かで品の良い酸味などの特徴がある。

◎エンブ

ケニア山南東に位置し肥沃な土壌と気候がケニア屈指の良質なコーヒーを生み出す。主な栽培品種はSL28、SL34、Ruiru11等。他のエリア同様フルーティーな特徴もあるがトマト等の野菜のような印象を受けるコーヒーが生み出される。香りの華やかさは他の地区に譲るもののコクの強さはケニア随一で、他の産地では考えられないほどの深煎りに耐えられる物も。複雑さとバランスの良さ、厚みのある香味はエンブ地区ならでは。

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