「モカに始まり」、「珈琲屋」出版記念講演会 「モカに始まり」、「珈琲屋」出版記念講演会
「モカに始まり」、「珈琲屋」出版記念講演会

「モカに始まり」、「珈琲屋」出版記念講演会

更新日:2018年10月24日
だいぼうさん

ドリップする大坊勝次氏

いつもありがとうございます。
東京国際展示場(東京ビッグサイト)で行われた「SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション 2018」も大盛況のうちに終わりました。ジャパン カップテイスターズ チャンピオンシップ (JCTC) 2018には私がお付き合いしているワタル株式会社名古屋支店の村越悠さんが予選を通過して準決勝進出者となり、当日会場で決勝戦を戦いました。

試合

ジャパン カップテイスターズ チャンピオンシップ の出場者

村越さんはワタル株式会社名古屋支店でも秀でたカッピングの持ち主で、私もCOE(カップオブエキセレント)のカッピングに参加した時にいろいろ的確なアドバイスを頂いています。舌も秀でていますが、顔も超イケメンなのです(笑)
結果は・・・

優勝 新田 千香子 Chikako Nitta  有限会社チモトコーヒー/新田珈琲 福井県
2位 古橋 見洋 Minami Furuhashi  有限会社フルハシ/ コーヒーファクトリー 茨城県
3位 杤久保 竜 Ryo Tochikubo ワルツ株式会社 愛知県
4位 岩本 貴之 Takashi Iwamoto  有限会社バンボウ/ 金澤ちとせ珈琲 石川県

・・・で、
村越さんは残念ながら7位という結果に終わりました。しかし、ここまで勝ち進んできた功績を私は誇りに思っています。これからも精進して来年にはぜひ優勝をしていただきたいと思っています。

ドリップ

大坊氏のドリップに見入っている

10月1日に当店では、「モカに始まり」、「珈琲屋」出版記念講演会を開催いたしました。大坊勝次、小坂章子、森光充子(珈琲美美)、藤原隆夫(珈琲折鶴)、キム・ホノ(陶芸家)その他・珈琲屋数人をお迎えして全員参加型のディスカッション方式で行いました。
セミナーという形での会にしたかったので、参加資格を「モカに始まり・産地版」、「モカに始まり・焙煎抽出版」、「珈琲屋」の3冊を所有し読まれた方限定にしましたが、それにもかかわらず60名以上の募集があり、会場の広さの関係から仕方なしに45名に限定させていただきました。

まずは新店舗で大坊さんの珈琲をお飲み頂き、飲み終えた方から旧店舗の特設会場に移動していただくという手順で始めました。スタッフも含め約50名以上の珈琲を淹れるのですから、時間も体力も大変です。大坊さんはいつものスタイルで微動だにせず、滴一滴と珠玉の珈琲を淹れていました。大坊さんの会は今回で4回目になりますが、今回初めて奥様の恵子さんが来ていただいたので、流れるようなお二人の絶妙なコンビネーションを拝見することが出来ました。まさに夫婦一体とはこのことなのだと感心させられました。

紹介

全員にお飲み頂き、会場を移動していよいよ会の始まりです。MCは私が担当させていただきました。壇上にはパネラーとして、大坊勝次、大坊恵子、小坂章子(ライター)、森光充子(珈琲美美)、藤原隆夫(珈琲折鶴)、キム・ホノ(陶芸家)と勢ぞろいです。これ程のメンバーが一堂に、しかも瑞浪に集まるのはなかなかありませんので、一瞬目を疑うくらいでした。

まずは、僭越ながら私が、今のコーヒー事情や本の内容、会の趣旨などをお話させて頂きました。その後、大坊さんから順に自己紹介と一言をいただきました。今回は全員参加型の質問討論会方式を趣旨としてやりたいと思いましたので、「三冊の本をしっかり熟読してくださいと!」そして、「必ず質問を持ってきてください!」と、一か月前から教室で生徒達にプレッシャーをかけていました。私の教室は大変真面目な方ばかりですので、前の日と当日に、「先生!本がすべて読めなかったので参加資格を満たすことが出来ませんでした。大変残念ですが欠席します!」というメールが何人かから来ました(笑)

「大丈夫です!そのぐらいの気構えで来てくださいという意味で申し上げただけですので、そんなことをおっしゃらずに来てください!」と返しました。

小坂さん

ライター 小坂章子さん(左)と陶芸家キム・ホノ氏

森光さん4

博多 珈琲美美の森光充子さん

奥様

大坊勝次氏(左)と奥様 大坊恵子さん

折り鶴さん

岡山県 珈琲折り鶴の藤原隆夫氏

紹介が終わり、さて、質問タイムです!

「質問のある方!?」

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手が上がりません??一体どうしたことか?私は、全員が手を上げ、大坊さん達がびっくりするのを想像していたのですが、なんと、私がびっくりしてしまったではありませんか。
私の落胆した顔を察知した当店のスタッフがすぐに手を上げてくれました。その後、一人が上げると緊張が解けたかのように、数人の方々が次々に手を上げようやく討論会の体をなしました。

質問はやはり「珈琲屋」の本の中の内容に関する質問が多く、大坊さんや編集した小坂さんがそれに一つ一つ丁寧に答えていました。質問された方のほとんどは珈琲店や喫茶店を実際に営業されている方が多く、やはり珈琲屋の本の内容がプロレベルの内容になっているという事を強く感じました。彼らは珈琲そのものの味とかではなく、店を営んでいくうえでの大切な事や心構えにとても興味があるようでした。当然ですが、やはり一般の方との厳然とした違いを感じました。

珈琲を生業としている方は本当に大変です。一般的に、珈琲屋は味さえ良ければ流行ると思っている方が多くいますが、実際に営業するとそんなわけにはまいりません。確かにコーヒーが良質だという事は最低条件ですが・・・。

私は教室の生徒に良く言うことがあります。

「コーヒーは飲み物ですが、飲む楽しみより作りだす(淹れる)ことの方がずっと沢山の楽しみ方がある」と。

自分で珈琲を淹れる方は、まずは豆をミルで挽いてフレイグランスの香りを楽しみ、お湯を注ぎ入れる時に沢山のアロマを楽しみ、自分の好みのコーヒーエキスにして飲むことが出来る。しかも、自分で珈琲を淹れて飲むと良質の珈琲がとても安く飲めるのです。飲むだけの方は、カップにするまでの楽しみ喜びを分からずに、珈琲の何分の一の楽しみしか知らないのです。
自分で美味しいコーヒーが淹れられるようになると、誰かに飲ませたくなります。友達に淹れてあげ「美味しい!」などといわれると本当にうれしいものです。「この喜びを仕事にしたら楽しいだろうなぁ」って、珈琲屋や喫茶店を始める方が実はとても多いのです。

しかし、現実は味だけ良ければ商売が成り立つという訳には参りませんので簡単ではありません。経済が伴う事ですので、味以外の様々な条件が必要です。経済力、思考力、気力、体力の継続などは最低限必要です。

会は佳境に入り、パネラーの方々が多くの質問に答え盛り上がりました。限られた時間ですのでまだまだ聞きたいことがたくさんありましたが、惜しまれながら閉会としました。閉会後、新店舗にて、少しの食べ物とアルコールでご苦労さん会を催しました。やはりアルコールが少し入るとリラックスして話が盛り上がります。森光宗男(故人)の話などを中心に楽しい時間が深夜0時近くまで続きました。その日は近くのホテルでお泊り頂きました。

ハミング

中津川市 喫茶ハミングバード

次の日は、皆さんを車で中津川観光にお連れしました。朝はモーニングを頂きに、中津川坂本の「喫茶ハミングバード」に行きました。ハミングバードは若い金子さんご夫婦がお二人で営んでいる店で、とてもセンスの良い落ち着いた店です。金子夫妻もとても人柄の良い方で、腕も確かでケーキも手作りで数種類お出ししていますがどれも大変おいしいのです。大坊さんや藤原さんが、「コーヒーもケーキも美味しくてとても良い店ですね!」と感心していました。

その後、中津川市付知町の「付知 熊谷守一美術館」で作品鑑賞をしました。数年前に新たな美術館として移転し、とても素晴らしい美術館になりました。熊谷守一さんは、森光宗男(故人)氏が生涯影響を受けた三人のうちの一人で、「守一のような珈琲を創りたい」と常々言っていました。

シンプルでありながら物の本質が深く描かれていて、静かでありながら動きがあり、余韻がいつまでも心に残る画なのです。大坊さんは大変気に入って頂いた様子で、1時間30分ほど時間をかけてゆっくりご覧になりました。

「良い美術館ですね!素晴らしい画の数々に感動しました!」

といって、守一の本を購入していました。私は、ここにお連れして本当に良かったとホッと致しました。

中津川市 カフェ・リバー・サニー

中津川市 カフェ・リバー・サニー

その後、ランチを食べに中津川市落合町の「カフェ・リバー・サニー」に行きました。この店は、5年ほど前にオープンした店で、石釜を使ったパンやピザがとても美味しく、ボリュームもあってとても人気の店です。岡田さん一家(お父さん、お母さん、娘さん、息子さん)がそれぞれ分担してやっています。メニューも店もほとんどが手作りで温かさが満載の店です。

また、皆さんの人柄も素晴らしく人間味あふれる温かなご家族で、一家の人間性に触れるだけで心がなごみます。店のある場所のシュチュエーションも自然と一体していて、椅子に座って外を眺めているだけで心安らかになります。みんな口々に「良い所ですね!」「東京や博多ではこの自然の中での喫茶は考えられません。うらやましいです!」と言っていました。

さて腹いっぱいになり、いよいよ大坊さんご夫妻を中津川駅までお送りする時間となりました。最後は「すや」によって名菓「栗きんとんを」買って、手土産にお持ちいただきました。

大坊夫妻をお送りしてから、森光さん、小坂さん、藤原さんで土岐市の温泉に行き2時間ほどゆっくりしていただきPM7:00頃多治見駅よりお帰りになりました。とても楽しく充実した2日間でした。

皆さんにはこんな田舎の瑞浪まで来ていただき、仕事まで休ませてしまい申し訳ございませんでした。心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。またいつの日にかお会いできる日を楽しみにしています。

会の後に、皆さんから嬉しいメールがたくさん届きました。少しだけ紹介しますと・・・・。
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☆ 先生、ありがとうございました。お疲れ様でした。声を掛けて頂き本当に嬉しかったです😃お話しの中でグッと込み上げること何回か有り、私も質問しちゃおうかなと、(き)(も)(ち)は手をあげてました。が、本物の手はあげること出来ませんでした。しかし、あの素晴らしい人達(先生も勿論)と同じ空間にいたことが幸せでした。おやすみなさい。

☆ お疲れ様です、
今日は貴重な機会をいただきありがとうございました。
大坊さんご夫婦、森光さん、藤原さんなど、一つの道に真摯に向き合って見える方達の言葉がとても心に響きました。
珈琲に詳しくはないですが、一つのお店を続けて来た方達の表情や仕草、その方達の醸し出す雰囲気を直に感じられとても嬉しかったです。
みなさんの珈琲に対する雰囲気に尻込みしてしまい質問出来なかったことが情けなく少し悔やんでいます。ただ、珈琲ではないですが、自分は自分なりに植物と真摯に向き合っていきたいなと大坊さんの珈琲を淹れる姿を間近で観させていただき感じました。頑張っていきたいと思います。
ご無理を言いましたが、本当に参加させていただきありがとうございました。
感謝

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・・珈琲の会を一過性のイベントとしてではなく、継続的なセミナーという形で今後も繋げていきたいと思います。

数日後、大坊さんからお礼のお葉書を頂きました。
「今井さんの大学院は歴史です。」と綴られていました。
待夢珈琲店の珈琲教室を大学院に見立ててくれて最大の評価を頂きました。

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