「珈琲考と珈琲焙煎講座」(平成27年11月12日)
いつもありがとうございます。
前回お知らせした「アジューダ」の繁田武之さんが、ネルドリップの良さを知っていただこうという趣旨で「全日本ネルドリップの友の会」を立ち上げるお話をしましたが、その署名をとりがてら、瑞浪まで講座をしに来てくれました。
繁田さんは上海で自家焙煎の珈琲店の指導や開店立ち上げのコンサルティングなどをしていまして、大阪にある日本の焙煎機メーカーの富士珈琲機械製作所(富士ローヤル)の代理店もしています。
そういった関係から、今回は富士珈機の福島社長にも焙煎機(ディフェンダー)を持ってきていただき、ワークショプ形式で講座をしていただきました。
富士珈機の福島氏(左)、アジューダの繁田氏(中)と私(右)
「珈琲考と珈琲焙煎講座」・・・待夢‘S・コーヒーソサエティ
第1部 「珈琲考」・・コーヒーハンター・繁田 武之(アジューダ代表取締役社長)
《繁田武之プロフィール》
1955年 東京杉並区生まれ
1973年 福岡県八女市室園銘茶茶製造従事
1974年東京繁田園茶舗入社
1976年 ブラジル下坂農場珈琲製造従事
1977年 ブラジルサントススールブラジル農業組合研修
1988年 東京繁田園珈琲事業部「ブラウンチップ」東京荻窪に開設
1989年ブラジル下坂農場産珈琲豆「カルモシモサカ」を日本へ直輸入卸売販売
1990年通信販売コーヒー流通市場開設
2002年上海古北黄金城道に店頭焙煎の自家焙煎珈琲店&日本茶喫茶店「上海珈露夢珈琲店」を開業
2005年上海水城南路に「上海珈露夢珈琲店」を移転。上海初の全自動焙煎機を日本より導入
2006年上海珈露夢珈琲の焙煎工場を開設、日本へ雲南珈琲を輸出
2007年東京昭島に珈琲&茶の店「カフェドカルモ」開店、珈琲専用水分計を開発、販売
2008年上海人民広場に上海初珈琲挽売り専門店を開設
2009年上海繁田珈琲焙煎倶楽部開設。上海宅配珈琲nanacoコーヒー開業
2012年ブラジルジアマンチーナヨシマツ農場産珈琲を日本に輸入販売
2014年上海七宝[lon coffee]開設指導
2014年富士珈機焙煎機上海代理店
2015年フィリピン、ミンダナオ島珈琲視察
2016年8回目のブラジル訪問
《いままで訪問した生産地》
ブラジル(8回)イエメン(2回)エチオピア(2回)インドネシア(2回)ジャマイカ、ガテマラ、メキシコ、中国雲南(4回)中国海南島、ペルー、ボリビア、エクアドル、パナマ。ホンジュラス、タイ、
全日本コーヒー商工組合珈琲インストラクター
日本茶インストラクター
日本珈琲文化学会理事
「イブラヒムモカの会」会員
第2部 焙煎&焙煎機講座・・福島達男(株式会社 富士珈機代表取締役社長)
〇世界の『FUJIROYALブランド』
コーヒーは、18世紀に初めて日本にやってきたと言われている。19世紀後半から少しずつ愛好家を増やし、21世紀の現在では老若男女問わず数多くの人々がコーヒーを楽しむようになっている。
そんな日本のコーヒー業界を語るうえで欠かすことのできないコーヒー機械ブランドがある。戦争によって一時期はコーヒーがなくなり、飲用する人も減ったにも関わらず、戦後の日本経済の発展とともに再び活況を取り戻したコーヒー業界は、今や世界が注目する日本独自の文化を築き上げるまでになった。
その陰で戦前から焙煎機やミルを作り続け、日本の珈琲業界の発展を支え続けてきたのが『FUJIROYALブランド』である。
1955年(昭和30年)、大阪にあった富士珈琲機械製作所の西日本の販売拠点が独立し、『富士珈機販売株式会社』を設立。東京の富士珈琲機械製作所とブラザーカンパニーとして“FUJI”の使用を認められ、両者を区別するために“FUJIROYAL”という商標を取得。
1970年代の喫茶ブームに乗り、コーヒーミルを月に1000台販売しても生産が追いつかない状態が続く。
1980年代に入ると、小型焙煎機においては多くのプロに支持され、日本中にFUJIブランドの焙煎機が設置されていく。
2005年FUJIROYAL4代目社長として福島達男が就任。
〇職人の手作りにこだわる
FUJIROYALの製品は創業当時と変わらず、職人の手作りで機械を製造している。“使い捨て”の大量生産品があたりまえの現代だが、私たちはコーヒーの味を作り、コーヒーの味を守り継いでいくため、熟練の職人の手によって、“親”“子”“孫”の3世代が使える高い品質の機械を作り上げることにこだわっている。コーヒー屋の命ともいえるほど大切な機械を任されているという誇りをもっているのだ。
お客様のコーヒーの味を次の世代に引き継いでいく大切さを考え、機械の強度に改良を加えながら設計し、製品化できるのは、創業以来80余年の経験があってこそである。
=日本国内のFUJIROYAL=
本社・・大阪、東京支店・・東京、他、東京産機工業など
=海外販売拠点=
台湾・・台北、韓国・・ソウル、中国・・香港、上海など
コーヒーの果肉を乾燥させたエルサルバドル産カスカラ
カスカラティ
40名募集のところ、当日は約50名程の聴衆がみえ、会場はすし詰め状態で立見が出るほどでした。最初に、皆さんには今年初めて輸入された、とても珍しい「カスカラティー」をお飲み頂きました。
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《参考資料》
「カスカラ・ティー(CASCARA・TEA」・・・エルサルバドルサンタ・エレナ農園産
カスカラとはコーヒー豆の精製過程で本来除去するコーヒーチェリーの果肉を乾燥させたものです。カスカラティーの起源はイエメンのキシルとされています。
キシルは、水洗いせずにナチュラル乾燥させたコーヒーチェリーにジンジャー、ナツメグ、シナモン、クローブ、砂糖などを混ぜて煮出したホットドリンクで、通称「イエメンコーヒー」といわれ、今でもよく飲まれています。
しかし、カスカラは精製工程で水洗い工程があり半発酵が入る?ようで、ギシルとは少し味わいの違う飲み物です。
精製後、果肉を乾燥(ドライ)させることで完熟コーヒーチェリーの風味が凝縮し、甘酸っぱくフルーティーな香りの果実の紅茶(珈琲なのに・・)のような味わいになります。
ポリフェノールとカフェインの効能も少なからずあり、抗菌作用からアンチエイジング効果や糖尿病予防があると言われているようです。
淹れ方はリーフティーのように抽出して、その甘くフルーティな味わいを楽しみます。
第一部は、繁田さんが得意とするブラジルのコーヒー事情を例にとり、現在のコーヒー事情をスライドを交えながらわかりやすくお話をしていただいました。
250g焙煎機 「ディフェンダー」
第二部は、富士珈機の福島さんに、250g用焙煎機の「ディフェンダー」を持ってきていただき、焙煎のお話をしていただきました。焙煎の話は奥が深くいろいろな方法論がありますので、1~2時間でお話しできるものではありません。
しかし、パワーポイントを使い焙煎にポイントを的確に説明して、その後、ワークショップさながら実際に焙煎して見せていただきました。
焙煎ワークショップ
そうして説明しながら1バッチ(釜)目を焙煎し、その後、会場から焙煎希望者を募り3名の方に実際に焙煎機に触れ焙煎を体験していただきました。
ほとんどの方が焙煎機での焙煎工程を観たり体験したりするのが初めてでしたので、実際に焙煎の工程を目のあたりにすると、熱気を帯びて、皆の目は輝きを増し、焙煎に釘づけ状態となりました。
その後、質問タイムなども用意して、約2時間30分の講座が終了いたしました。
今回の焙煎講座は焙煎の世界をわかりやすく軽く一周いたしましたが、すでに自宅で手網焙煎をしている方々から、「次回はもう少し踏み込んだ講座が聞きたい」という声が聞こえ、もしまた来ていただけるようなら、次は焙煎の経験者を集めて、ステップアップ講座を開催したいと思っています。
いずれにしてもとても楽しい時間が過ごせ、この瑞浪の地で、珈琲の世界が広まり深まったように思います。
今年立ち上げた「待夢‘sコーヒーソサエティ」は、今後もコーヒーのプロフェショナル、スぺシャリストの方々に来ていたき、この地で珈琲のレベルを上げ、多くの方と珈琲文化を築いていこうと思っています。
「珈琲を飲むなら岐阜の東濃だよね!」
といわれるようになるのが、私の夢の一つでもあります。
