いつもありがとうございます。今回は前回の続き、ネル(布)ドリップの実践編です。基本的にはペーパードリップと大きく変わりませんが、その準備に少し手間と時間がかかります。しかし、その分、柔らかくて滑らかな味わい、風合いになります。
アメリカでブルーボトル・コーヒーが日本式ペーパードリップを流行させました。ようやく、アメリカの方々も真のコーヒーの美味しさに気が付き始めたのです。日本より40年も遅れていると私は勝手に考えています。そうなると次には、時代の回帰論からすると、「ネルドリップの時代」が来ると私は思っています。
先日、東京の「アジューダ」という珈琲会社の繁田武之さんが、ネルドリップの良さを知っていただこうという趣旨で「全日本ネルドリップの会」を立ち上げました。
繁田さんは、去年の9月1日に渋谷ヒカリエで行った「ネルドリップ講座」を主宰された方でもあります。すでに、全国のネルドリップをしている自家焙煎店の方々から賛同を頂いているそうです。楽しみですね!
正式に立ち上がりましたら、このブログでご紹介させていただきます。
「ネル(布)ドリップ抽出の基本」
a.適切な湯の温度(深煎りは80度前後、中煎りは85度前後、浅煎り90度前後)
b.適切な抽出時間(深煎りは3分~4分、浅煎りは2分~3分)
c.蒸らし時間(深煎りは1分~2分、浅煎りは約30秒前後)
d.静かにゆっくり、細く、粉の近くから垂直に注湯して、泡(アク)を落とさない
「ネルドリップの手順」
①ネルの準備
布の水分が抽出温度を下げたり、コーヒーの味を薄くしますので、ネルの水分を布巾でとります。
② ネルフィルターに粉を入れる
人数分の量をスケールで正確に測る。 1杯のコーヒー抽出のときはお湯と粉の接触時間が少なくなるので、粉の量を多少多めにすると淹れやすく薄くならない。
➂蒸らし
粉にお湯を注ぎ表面全体が湿るようにそっと注ぐ。サーバーにポタポタと1~2滴エキスが落ちるぐらいで止めて蒸らします。多少のエキスは下から垂れてもあまり気にしない。要は粉全体にお湯を含ませることが肝心。
④蒸らし時間
挽きたての新鮮なコーヒー粉から良質なエキスだけを取り出し易くするための下準備。浅煎りの豆は 約30~60秒。深煎りの豆は60秒から90秒くらいを目安にしてください。香りをチェックすると、「ふっ」と香りが変化する時がありますし、また、膨らんだ粉が落ち着き「ふっ」と下がる時があります。それが「OK」サインです。また、この写真のように均一に盛り上がれば「OK」です。
⑤注湯
中心から外へ円を描くようにお湯を注ぎます。湯量を一定にしてゆっくり外に向かって【の】の字を描く感じで注ぎます。お湯は一定の高さでゆっくり動かし、なるべく上下させないように努めてください。外側を何度も何度も早く注ぐ方が多くみられますが、お湯はあまり動かしすぎない方が良い。また、注湯は真ん中は多少回数を多めにお湯を注いでも良いが、外側へ行けば行くほど回数を少なくしてお湯を注ぐことが大切です。
⑥注ぐお湯の量と速度
1杯用など少量の時はコーヒー粉があまり多くの湯が保てないので、「点滴注湯」を基本にして少量のお湯をゆっくり注ぐ。1回の淹れる杯数が多いときは、少し太目のお湯をゆっくり大胆に注ぎます。基本は1杯でも5杯でも出来上がりまでにかかる時間はほぼ同じと考えてください。
⑦泡
茶色で細かい泡が均一に立っている時はお湯の温度などの条件がそろい「抽出がうまくいっている」と考えてください。白く大きな泡が立っているときは、お湯の温度が高いとか早いと考えてください。途中から泡が切れてしまうのは抽出オーバーか、お湯の温度が低いか、豆が古いことが考えられます。
⑧仕上げ
ネルの中の泡(灰汁)をドリッパーに落とさないように注ぎ、だんだん湯量を少なくしていく。人数分(一人前120cc位)抽出できたら、ドリッパー内にお湯が少量残っている状態でサーバーからはずして抽出終了。もったいないからといって、最後までドリッパー内のお湯を落とし切ると灰汁が一緒に抽出され、舌離れの悪い渋をともなったエキスになりやすいので特に注意すること。泡は灰汁と考えてください。
但し、フレンチ以上の深煎りの豆は灰汁が少ないのでこれに非ず。そして、なるべく適正時間内に終了してください。
